メディアシアターとは?
「メディア」とは、媒体や手段をあらわす言葉です。「言語」「印刷物」「ラジオ」「テレビ」「CD・DVD」といった情報を伝達・記録したりする装置や技術を示すものとして、また「映画」や「マンガ」などの表現形式そのものを「メディア」と呼ぶこともあります。近年馴染み深いものとしては、「マス・メディア」「デジタル・メディア」「ネットワーク・メディア」「ソーシャル・メディア」等という使い方であり、これらは”コミュニケーションの媒介”としての意味をあらわしています。そして、芸術においては「メディア・アート」として、近代のテクノロジーを積極的に志向する表現形式を示すものとして使われています。

このように「メディア」は、本来の媒介という意味から派生し、情報のやりとりに関わる全てのものを包括しながら時代と共に変容するダイナミックな意味を持っています。メディアシアター・プログラムとは、変化し続けるこのユニークな「メディア」を、「シアター(=劇場)」に組み込むことにより、舞台芸術における新たな表現とコミュニケーションの探求を目的として名付けたものです。「シアター」にあえて「メディア」という語を冠することで、舞台芸術を魅力的な「コミュニケーション・メディア」として再認識し、積極的に現代の新しいテクノロジーや才能を呼び込むことを意図しています。
「メディア」としての劇場の可能性
舞台芸術は「パフォーマンス」を核とする限りにおいて、知覚の探求という芸術本来の目的から離れることはありません。また、それらの知覚は、孤立してはたらくということもありません。たとえ、それが純粋にコンサートであるとしても、演奏という身体表現を伴った空間芸術としての統合的な体験をもたらします。したがって、劇場における表現の性質と可能性は、それらが持ちうる多面的な”知覚的機能”の自由度に依拠しているといえます。元来、劇場の機能は、上演される演目の形式に従って仕様を決定され、演目の形式は劇場の機能によって支配されています。両者は必然的に相互依存の関係であり、それぞれが時代固有の技術や形式、つまりその時代において発達した「メディア」としての力学により、性質を決定されてきたのです。

演目として伝えられる内容は、常に”形式にそった内容”です。内容は、いつも形式において存在し、形式の力学に制限されるとするならば、表現される内容は、自らがそれらにふさわしい形式を持つことが望ましいこと、また、より多様な内容を伝えるには、それらを扱える新たな形式が必要であることは自明のことです。このような理由から、知覚と感覚の比率を決定する「メディア」としての機能をより自由に発達させることこそが、舞台芸術に新たな可能性をもたらすことであると私たちは確信しています。
劇場をアートの最先端メディアに
「あらゆる技術とテクノロジーは人間の何らかの肉体的ないしは心理的要素の延長である」
“沈黙の言葉” エドワード・T・ホール
近年のコンピューターによるデジタルテクノロジーは、それと気づかぬうちに人々の知覚習慣に大きな影響を与えています。特に「デジタル・メディア」の発達は著しく、既存の表現や現象を形式として容易に取り入れるだけではなく、それらが持つ感覚のプロフィールをダイナミックに変動・編集することによって、単なる追体験を超えた「あらたな現実」を生み出すことを可能にしています。このようなメディアに日常的に親しんでいる現代の人々を魅了するには、劇場が今日の「デジタル・メディア」と同等、あるいはそれらを凌駕する「新しいメディア」としての機能を持つことが必要です。

MEDIA THEATER PROGRAMは、それを実現するための布石として、あらたな一歩を踏み出したところです。
よりダイナミックで魅力的な舞台芸術の創造のために、そして劇場が最先端の「アート・メディア」として人々を魅了し続けるために、HANDSONは、さまざまなアーティストと共に日々努力していきたいと考えています。